脂肪肝
副院長の進藤邦明です。
わたしは肝臓専門医として20年以上肝臓病診療を行っており、たくさんの肝臓病の患者さんを診療してきました。
その中で一番大切だと考えていることの一つは肝臓の硬さ(肝硬度)を測定すること、そしてこれからの日本人の肝臓病を診ていく上で重要なことは、肝臓の脂肪量を測定することだと考えています。
肝臓の硬さを知ることは、自分の肝臓が肝硬変に近づいているのかを知ることと同じです。適切な管理と治療を行う上で最も重要な検査になります。またこれまで肝臓病の多くを占めていたウイルス肝炎(B型、C型肝炎)が、抗ウイルス療法により減少し、脂肪肝が肝硬変、肝臓がんの最も多い原因になってきています。今まで「脂肪肝なんて」と思っていた病気が肝臓だけでなく、その他の生活習慣病とも大きく関わっていることもわかってきました。ですからこれからの時代は脂肪肝の程度を知ることがとても重要になってきます。
以前在籍した山梨県内の病院では、1年間に2万5000人以上の腹部超音波検査を行い、そのうち脂肪肝と診断された方は約37%で全国平均を上回っていました。また脂肪肝の中で肝硬変になる可能性があり、専門医への紹介が必要とされた方は約23%でした。
当院では肝臓病専門クリニックとしてFujifilm社ARIETTA S750®という超音波装置を導入しました。従来のエコー機能に加え、肝臓の硬さ(肝硬度:SWM)と肝臓の脂肪量(iATT)が計測できます。
1分程度で肝臓の硬さ、脂肪肝の程度を知ることができますので、現在の肝臓の状態把握、治療効果を数値的にみながら診療を行っていきます。とくに脂肪肝の程度が定量できることは一生懸命ダイエットをすることの励みにもなります。
わたしがこれまで在籍したどの施設より、適切な診療を行っていけると考えています。脂肪肝、肝機能障害が気になる方はぜひ当院にご相談ください。
また健康診断(保険適応外)でも測定を行いますので、自分の肝臓の具合が気になる方もぜひご相談ください。

*MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)、MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)
代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD:マッスルド/マッスルディー)とは、脂肪肝に加え、肥満、耐糖能異常、高血圧、高中性脂肪血症、低HDL血症のいずれかを併発している疾患を指します。MASLDは、肥満、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の肝臓における表現型として発症し、お酒をあまり飲まない人でもアルコール関連肝疾患の人のように肝疾患が進行します。
MASLD、MASHは以前、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:ナッフルド/ナッフルディー)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)と呼ばれていました。しかし、欧米ではNAFLDの「A」を指す「Alcoholic」は「飲んだくれ」、「F」を指す「Fatty」は「太っちょ」のような意味合いも持つため、社会的な偏見(スティグマ)を生む名称を変えるべく、欧米の関連学会より2023年6月に新たな名称が提唱されました。日本の消化器病学会と肝臓学会でも同年9月に名称変更への賛同声明がなされ、現在このような名称となりました。
この疾患は肥満やメタボリックシンドローム患者の増加に伴い、年々患者数が急増しています。脂肪肝の中には知らないうちに肝硬変や肝がんへ進行してしまうMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)が20~30%いるといわれています。
肝臓の病気と言えばお酒の飲み過ぎやウイルス性に感染することによる肝炎を思い浮かべる人が多く「脂肪肝くらいなら大丈夫」だと考える人が多いかもしれませんが、肝臓にどの程度脂肪がついているのか、肝臓の硬さ(肝硬変の程度)がどの程度進んでいるかを評価することは非常に重要です。
脂肪肝と診断された方は当院にご相談ください。当院では肝臓の脂肪沈着の程度、肝臓の硬さを測定できる腹部エコー装置を導入し、個々の患者様ごとに合った適切な対応が可能です。
治療に関しては生活習慣病との関連が強く、基本的には食事や運動によるライフスタイルの改善などが早期治療の基本となります。また生活習慣病にあわせた薬物療法も追加して行っています。
肝臓内科専門である当院に一度ご相談ください。